さて守りであるが、キールは基本的に5-1ディフェンスで、DuvnjakかJichaが前に出て、センターにポストバックのRene ToftとPatrick Wiencek、バック選手のCanellasのうち2人が入る、というのが多いパターンである。そしてサウスポーバックのVujinは攻めだけ、そのかわりにSteffen WeinholdかWiencekが守りに入ることが多い。
今回は、前半Canellasは攻めも守りもすべて30分間でずっぱりだったが、後半はほとんど出ず、しかし誰かが2分退場になった場合に守りの補強に入ったり、残り10分でJichaが故障してからはその代わりに攻めはRasmus Lauge、守りはCanellasが入った。
ちなみに、デンマーク人の若手Rasmus Lauge、去年故障していたせいか、CanellasとDuvnjakが束で入ったせいか、ほとんど出番がない。今回もこの最後の10分間だけであった。
で、このポストバックの2人は、かなり似たタイプである。
二人とも攻めよりも守りが強い。で、2分をもらいやすい。Wiencekは特に多く、31試合で25回。ほぼ毎回もらっていることになる。Rene Toftは16回で2番目に多い。
Rene ToftとPatrick Wiencek ちなみに、ディフェンダーとして重宝されるCanellasはたった4回。動きで攪乱してフィジカルにはせめない、ということなのかもしれない。にらみもなかなかのもんだと思う。「オラオラ」と寄せ付けないオーラを放っている。
今キールでは、キーパーのJohan Sjöstrandと左ウィングのDominik Kleinが故障で戦線離脱しており、代替要員としていずれもかつてキールでプレーしていたがすでに引退している選手を暫定で入れたのだが、左ウィングの35歳のスウェーデン人Henrik Lundströmはまだいいとして、キーパーにはなんと、43歳のノルウェー人Steinar Egeが復帰することになったのである。
Steinar Egeは、わたしが2009年にハンドボールを生観戦しはじめたときに、ファンになって頻繁に観にいったFCKのキーパーだっただけにとても思い入れのある選手である。2010年にAGと合併してAG Københavnになり、Steinar Egeはそのまま残留してKasper Hvidtと見事なまでに半々でプレーして活躍したが、2012年にスポンサーの倒産で解散したついでに引退するまで3年半頻繁にみてきた。倒産する前に新たな契約をAGと交わしていたそうだが、すでに40歳だったし引退のタイミングとしてちょうどよかったのかもしれない。
しかし引退してから3年。年も年だけにやはりかつての精彩ぶりはみるべくもないが。まぁ二番手三番手キーパーががんばっているから、出番はほとんどないのだが。それでもSteinar Egeが出るとなんとなくうれしい。
Steinar Ege
それにしても思うのは、キールは選手層が厚い。
相当の実力をもった右手バックが5人もいるってかなり贅沢な状況である。
しかし思ったのは、キールはチャンピオンリーグのファイナル4進出常連チームだし、試合のスケジュールは相当なもので、そこまで厚くしておかないと選手の体がもたないのではないか、と。
ブンデスリーガでプレイオフ戦がないのも納得である。19チームあるからリーグ戦だけで36試合、なおかつ国内トーナメントもあり、そしてチャンピオンスリーグでは一次リーグ戦からファイナルまで全部で16試合。鬼のような試合数である。数えてみたら56試合あった。
現に先週末のチャンピオンリーグではJicha-Aronペアがほとんどプレーしていたので、スタメンはCanellas-Duvnjakだろうと思っていたらそのとおりだった。
つづく。