デンマーク対アルゼンチン戦 | アンテナ

デンマーク対アルゼンチン戦

01/18 06:49
Michael Damgaard 
楽しみにしていた世界選手権が開幕した。
早速昨日はデンマーク対アルゼンチンの試合を観戦した。
 
前回書いたように、ワイルドカードで異例な出場権を得たドイツがポット6からデンマークのグループに入ったせいで、ほかポーランドとロシアも一緒という厳しいリーググループになっているが、アルゼンチンはまだ楽勝な相手と楽観し、それほどシリアスに観ることもないか、、くらいの心持だったのに、いやいや全然ラクな相手ではなかった。
思ったよりもテクニックをもっているし、何よりも速い。
 
今回、国際大会では初めてデンマークチームの指揮をとることになったアイスランド人Gudmundur Gudmundssonの方針でアグレッシブディフェンスに変わった。
ディフェンスの重鎮Kasper Nielsenは高齢で(たぶん39歳くらい?)代表チームから外れ、比較的若手のディフェンススペシャリストKlaus Thomsenは故障で出られずで、ディフェンスの要はRene Toftのみ。そこにあんまり上手ではない実弟Henrik Toftを強引にデュオを組ませて中心を守らせ、誰かひとりが前に出て攻めを攪乱させる、というのが狙いである。
しかし、合宿でも相当ハードな練習をしてRene Toftは指の骨を折る寸前にもなったらしいが、もともと重厚系のデンマーク、アグレッシブディフェンスがイマイチだった。意外とアルゼンチンの速さに追いついていないし、強引に食いついていこうとするから、ファウル、2分退場、7Mの連続だった。
 
それにデンマークにとって不運だったのは、今大会から国際ハンドボール連盟の意向で、物理的な負荷を低減すべくファウルを厳しくとることになったらしく、2分退場を多くとられたことである。
結果的にはデンマークもアルゼンチンも7回ずつとられたが、デンマークはディフェンスでもっとも欠いてはならないRene Toftが15分で2度とられてしまったため、3度目とられてレッドカードになるだけでなく次の試合も出られなくなってしまうであろうことを懸念してか、以降45分間まったく出なかった。そしてディフェンス2番手3番手のHenrik ToftとHenrik Moellgaardまでもが2度ずつとられてしまい、フィジカルな強みをもったデンマークのディフェンスは、ファウルに怖気づいたために目もあてられない状態になってしまった。
もういっそのこと、アグレッシブはやめて壁ディフェンスになってくれ、と心の中で祈ったほどである。
前半は5点差でリードしていたが、後半はじりじり追い詰められ、最後の最後でシュートを決められず、結局24対24と同点で終わってしまった。もっとも勝てる可能性が高いであろう相手に引き分け、、デンマークにとっては痛い初戦だった。
 
新監督Gudmundur Gudmundssonの裁量もイマイチだったのではないか、という批判もあがっている。
アイスランドチームの監督としては経験も長い上、オリンピックでも銀メダルをとったりしているし、ドイツの強豪チーム、ラインネッカーローエンの監督としてチャンピオンリーグの経験もしているから、国際試合の経験はばっちりもっているのだが、やはりデンマーク人選手をまだ把握しきれていないのか。いや、ドイツに行く前はわたしの好きだったGOGの監督もやっていたし、デンマーク人選手に馴染みがないわけではないだろうけれど。デンマーク語の会話も可。
ちなみに、現在のアイスランドの監督はKoldingKoebenhavnの監督Aron Kristjanssonで、カタールに入る直前までデンマークで合宿していたらしい。というか、わたしの職場にいるアイスランド人をみても、彼らが一番外国人の中で違和感なくデンマーク社会に溶け込んでいるなぁと思う。メンタリティとしてはもっとも近しいのではないか。
 
なので、わたしの意見としては、やはり厳しいレフェリーの判断にデンマーク人選手のメンタリティがやられてしまったことがもっとも大きな原因だと思う。
また、今回バック選手が故障明けしたばかりという選手が多く、今まで以上にMikkel Hansen頼みになり、ばっちりマークされ、攻めもイマイチだったことが大きい。
その中で唯一印象的だったのは、元「ハチマキくん」Michael Damgaardである。
2009年にGOGを応援していたとき、Damgaardはまだ20歳にもなっていなかったが、このときから何か光る才能みたいなものがみえた。そしてGOGが倒産し、Tvis Holstebroに移り、スタメンで活躍するようになってからお気に入りの選手になった。バンダナではなくハチマキしているところが今どきではない根性みたいなものがみえたし、粗削りでありながらきもちのいいほどの思い切りのよさ、バネのある壁破りのシュートは観ていてなかなか快感である。
ま、今回もそのノーコンぶりをいかんなく発揮してくれたはものの、Mikkel Hansenがガードのかたさのせいもあってイマイチで代わりにDamgaardが出てきたとき、それまでしゅーんとしたデンマークのネガティブな雰囲気を活気のある雰囲気に変えたようにみえた。精度は低いが、俺がやったるぜという気迫をみせてくれた。たぶん4連続とかでDamgaardがシュートしたであろう。
去年おととしの決勝戦のありえない大敗をみてきても、今のデンマークでもっとも問題になっているのはメンタルの脆さである。そこにDamgaardの根拠のない自信が新しい風になってくれるといいなと思うのである。
  
このままでは上位を狙えそうもないが、ともかくリーグ戦の観戦が楽しみである。

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